TROIS

観劇後に気合があったときだけ書きます

fff千秋楽のアドリブから考えたこと

fff千秋楽のアドリブから考えたこと 男役・望海さんという贔屓の退団後の手負いのけもののようなファンの考えを文章にしました。歓喜に至りたいと思いながら雪原でくだを巻いているような内容ですが、どこまでもともに行こう(贔屓が座っていない空の椅子と…

雪組公演 レビュー・アラベスク『シルクロード~盗賊と宝石~』の国や文化の表現について

雪組公演 レビュー・アラベスク『シルクロード~盗賊と宝石~』の国や文化の表現について これといった結論が出せていない内容なので、シルクロードを観劇した人に一緒に考えてほしいと思い、記録に残しました。具体的な国や文化を引き合いに出して、このシ…

雪組公演 ミュージカル・シンフォニア 『f f f -フォルティッシッシモ-』 ~歓喜に歌え!~ 雑感④

雪組公演 ミュージカル・シンフォニア 『f f f -フォルティッシッシモ-』 ~歓喜に歌え!~ 雑感④ ・fffで描かれる「暴力」 fffにおけるナポレオンは、ベートーヴェンの政治的立ち位置や作曲姿勢の変化を描き出すための存在でもある。ナポレオンの「理想」…

雪組公演 ミュージカル・シンフォニア 『f f f -フォルティッシッシモ-』 ~歓喜に歌え!~ 雑感③

雪組公演 ミュージカル・シンフォニア 『f f f -フォルティッシッシモ-』 ~歓喜に歌え!~ 雑感③ 「雪原のベートーヴェンはナポレオンの夢を見るか?」 ルサンクのト書きに記述があったら、一発で想像の意味がなくなる話をしています。 政治思想への共鳴…

雪組公演 ミュージカル・シンフォニア 『f f f -フォルティッシッシモ-』 ~歓喜に歌え!~ 雑感②

雪組公演 ミュージカル・シンフォニア 『f f f -フォルティッシッシモ-』 ~歓喜に歌え!~ 雑感② ・雪原でふたりが見た光景について 理想の実現のために革命を推し進めたナポレオンは、自分のやっていることはある意味芸術みたいなもん、と夢の中のロシア…

雪組公演 ミュージカル・シンフォニア 『f f f -フォルティッシッシモ-』 ~歓喜に歌え!~ 雑感①

雪組公演 ミュージカル・シンフォニア 『f f f -フォルティッシッシモ-』 ~歓喜に歌え!~ 雑感① ーーーーネタバレがない感想ここからーーーー <本作品をおすすめしたい人> ・面白いお芝居が見たい ・エモいオープニングが見たい ・宝塚の座付き作家は…

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』⑥

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』⑥ きいちゃんとのCもかけがえがないのですが、ABもそれぞれに素敵で、懐かしい楽曲の数々が舞台上を駆け巡るさまは、一足早いサヨナラショーを見ているようで胸に込み上げるものが多かったです。 もはや見たもの…

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』⑤

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』⑤ 雪組パロディコーナー、楽しみましたか? 私は正直面白かったところもなくはないのだけれど、諸手を挙げては楽しめない場面でした。アヤナギ先生の映像もアヤナギ先生も、アヤナギ先生を演じきるサラサラストレ…

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』④

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』④ ENDLESS DREAMな望海さんと軍服モチーフの衣装について 月火水木金働いたら会えるヒーローを励みに日々を生き抜く雪組子の、元気はつらつとした歌に勇気をもらった直後の場面。彼女らにとっての「ヒーロー」が…

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』③

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』③ Cパターンと望海さんときいちゃんについての感想。 Cパターン初日を迎えるまで、コンサート自体、楽しくて幸せだなと感じ、きいちゃんがいないということに大きな不満を感じるということはなく観劇していたはず…

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』②

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』② コンサート全体を通して見た時、いわゆるクラシカルな宝塚の魅力を伝えるコンサート(というものの蓄積がないファンなのでどなたかに事例を教えてほしい)ではないという印象を与えるらしい『NOW! ZOOM ME!!』…

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』①

望海風斗 MEGA LIVE TOUR 『NOW! ZOOM ME!!』① プレサヨナラなら望海さんが男役として役を演じている姿を一作でも多く観たいと不安を抱いていたころの自分に伝えたい、未来の私、めちゃくちゃコンサート楽しんでたよ。そういう感想です。 一幕の洋楽、邦楽を…

2112時間続く夜にポルンカの兵士は地球の夢を見るか

宙組『FLYING SAPA -フライング サパ-』の主に難民ブコビッチについての感想 ※8月11日ライビュを鑑賞したきりなので、認識に誤りがあったらやさしくご指摘ください ※観ている人が読む前提でネタバレをわっさわっさする 観た9割ぐらいの人が思いつくベタな…

宝塚「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」のヌードルスと望海さんについて

ヌードルスと望海さんヘのくすぶる想いが熱を帯び赤く燃えている人の感想(こわい) ・やんちゃかわいい少年期 星逢以来の少年、どうなる?!と思っていたけど特になんの問題もなかった。くるくるした前髪が額と眉を覆って顔まわりの直線を和らげている。も…

宝塚の「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」≒「ONCE UPON A TIME IN TAKARAZUKA」?

宝塚を見過ぎて「アメリカ」すら宝塚という大きな貝が吐き出す蜃気楼に見えてきている人の感想。 "昔、ふたりの貧しい少年がいた。ひとりは日の当たる道にたどり着いたが、もうひとりはつけなかった。けれどふたりとも、このアメリカで懸命に生きていたこと…

宝塚 ミュージカル『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』一幕ラストについて

ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)一幕ラストの話をします。 一幕ラストは何度見てもつらい。 つらいの内訳のひとつは、ヌードルスの慟哭があまりにも直接的に伝わってくること。どういう事実への嘆きか、具体的な彼の…

宝塚ロマン『はばたけ黄金の翼よ』

「面白い女だ」そう哄笑した男の謎を追って夜霧の十字路を抜けた我々がロドリーゴで目撃したのはーーーー「むかしむかし、乙女がおりました」(24年組) 宝塚って未見の時に思っていたほど白馬の王子さまっぽいキラキラしたヒーローは出てこない世界だ、と気…

宝塚雪組 『壬生義士伝』

壬生義士伝、ここが好きじゃなかった、という楽しくない話をします。 観劇後しばらく経つと、いやそんなに悪くないのでは…?と思い、再度観劇すると(そんなことはなかった…!)と新鮮におののく、というのを繰り返しているこの頃です。 メインテーマの美し…

『骨と十字架』

ほねじゅう観劇にっき 真理を追い求めるひとのひたむきな探究心、譲れないものを抱えた人間同士の感情のぶつかり合い(ときどき一方通行)に見果てぬ夢をみた作品でした。ロマンチックが螺旋を描いて激突の末、大爆発です(私の中で)。 彼らのような学問の…

宝塚雪組 ブロードウェイ・ミュージカル 『20世紀号に乗って』

20世紀号の好きなところを答え合わせする会場のうちのひとつはこちら! シャンパンが流れる小川よりもロールスロイスよりも豪華で、何もかも最高にグレイトなミュージカルが終わってしまいました。 なんて素敵でなんて素晴らしい瞬間に立ち会えているのかし…

星組『霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』

星組『霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』 芝居でもう精も根も尽き果てて、帰る!あたしもう帰ります!という気持ちをなだめてぐったり椅子に身を預けて観たショーもやっぱりすばらしく身にしみて、宝塚フォーエバーをBGMに…

ミュージカル『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』

前情報から勝手にあれこれ想像して気後れして、あまりにも楽間際にチケットを取ったのをめちゃめちゃに後悔しています。その場に足を運んで自分の目で確かめないと、自分の心がどう動くかはわからないのが舞台! 舞台上にぼこぼこと空いた穴の中に埋まりこん…

『ファントム』おかわり

新幹線で身体だけ運ばれてきたので魂は宝塚で輝いています。思い込みの激しさで書いたので、次回見たら考えが変わっているかもしれない感想。 ・愛情さんと息子の話さきちゃんのジェラルド・キャリエール(またの名を愛情さん)は肉体も精神もマッチョさがな…

雪組『ファントム』初日を観て

思い入れ分の書き連ねの多い文、時々見たものの感想。 演者に入れ込んでしまったファンにとって「宝塚」の物語構造はやっかいだ。 ファントムならば、クリスティーヌからエリックに歌い継ぐHomeを聞いたときに大きく動く心は、舞台上で起こっていることだけ…

ミュージカル『マリー・アントワネット』について

(つまらなかったで流すにはいろいろと考え込むテーマが織り込まれていて、でもやっぱりいまいちぴんとこなかった理由を少しだけ掘り下げてみた感想) 個人的には、なんで私はこれを観に行ったのだっけ…?と終演後に若干ぼんやりしてしまうくらい、ものすご…

ショー・パッショナブル 『Gato Bonito!!』 ~ガート・ボニート、美しい猫のような男~

ねこの夏が終わってしまった悲しみを抱えて生きる。うつくしいねこの出てくる夢を見て、幻にさらわれました。 のぞみふーとに精力を使い果たしているのだ我々は!!! SV!がサービス精神のかたまりみたいな全年齢対象のショーとしたら、この瞬間を2,000人超…

ミュージカル・プレイ 『凱旋門』-エリッヒ・マリア・レマルクの小説による-

結局めちゃめちゃ通ってしまってまじかよ…しかし悔いはない、と思っている人間の感想。 オレンジがかったセピア色の照明が濃紺にゆっくりと移り変わって、舞台上に静かに夜がやってくる。舞台全体を包むくすんだ色味。行き交う男や女の濃い舞台化粧が、彫り…

宝塚BOYS

2010年バージョンをDVDで観てグッと心を掴まれた時はまだ宝塚をなにもしらず、2013年観劇時にようやくその夢の入り口に立っていた私も、あれから5年経って、彼らが夢を見たものにどっぷり浸かっています。 いま目の前にあるものに打ち込むことが人生のすべて…

演劇『1984』

『BADDY』での「怒り」は生きることと分かち難く結びついていた。それは人間が個人として生きるための表現のひとつでもあったと思うけれど、1984の世界に登場する大きな怒りは、他者から強引に引き出され、同時に制御されるものだ。そこに生きる人たちを「非…

グッディは天国/地獄の炎のなかでピースフルプラネットの夢をみるか

ショー・テント・タカラヅカ『BADDYー悪党(ヤツ)は月からやって来るー』のグッディに偏った記録 (マージナルとバルバラ異界を読んで、フェミとSF、ディストピアものの親和性って高いんだなといまさらながらに思い知ったこの頃だけれど、舞台化する上でのS…