TROIS

観劇後に気合があったときだけ書きます

11/25マチネ『ALTAR BOYZ』REGEND


2012年の総括に、アルターとスリルミーとエリザベートが同じ年だったなんて信じられない!というようなことを書いたのですが、当時の私に2014年の11月の現状を伝えたら泡を噴いて倒れるでしょう。まさかまさかそれにM!が加わって、それぞれが公演期間の頭だったり終わりの一部分だったりとはいえ、ひと月に重なることがあろうとは。エリザは東宝のエリザではないし、スリルミーもらちこにもにろまりもいないので(結局かなまりのみ観劇)、四苦八苦てんやわんや状況はまたちょっとおもむきが違うものなのですが、それにしたってひどすぎるよ観劇の神様、と天を仰いだ日多数。
物理的には身体と財布事情の苦しみ、でも一番大変なのは心の問題です。前述の条件が許したといっても、消化がおっつかない。本来ならひとつひとつについてもっとじっくり考えたいのに、あまりにもめまぐるしくて、目を白黒させながら飲み下しているような状態が続いている気がします。私の頭の回転のにぶさとろさも十二分に影響しているのだとは思いつつ、そこってほんとは処理速度をあげる必要はなくて(だって仕事ではないのだから急く必要など)、頭の回転の速度に、観劇頻度をあわせるべく、きちんと取捨選択する必要があるな、と改めて思う今日この頃。目の前にあるものはすべてきらきらして見えるし、すべて一期一会には違いないのだけれど、だからといって図書館の書架を埋め尽くす本を見てため息をついたころと同じように、興味のあるもの全部に手を出すことは不可能。本は待ってくれるけれど、舞台は待ってくれないから、選ばないのは粗末にすることではない、という当然の事実をきちんと腹に落とし込んで、来年の目標も取捨選択と掲げたい(岡田さんが来年の目標は11月に決めるといいって言ってたから……)。ぜんぶ抱えたまま進退きわまって泣きそうな顔で棒立ちしてる人生との決別を!(しかし悩みつづけることが人生(要約)とも芳雄さんが言ってた……)

そんなこんなで、エリザとM!を並行しつつ、エリザ楽終わったら今度はスリル・ミー、トーキョー・スラム・エンジェルスも風共も!(それぞれの感想も後ほど)としているうちに、とうとうアルターボーイズが私たちにご奉仕してくれる期間がやってきてしまいましたなんてこった。
http://d.hatena.ne.jp/trois_reve/20120218/1329587760
唐突にはさんだ上記記事リンクは2012年REDの楽日感想です。
たぶんこの記事内容に興味をもって読むような方は当時の状況をいまさら掘り返して提示せずとも、よくご存じだとは思うのですが前置きとして。
足げく通いつつも、私の好きだった2010年の彼らはどこにいってしまったんだろう?と途方に暮れていた2012年当時、楽日を迎えて、もうきっと二度と彼らに会うことはないのだと思ってすごしていた数年の時を経ての、2014年公演の発表。作品としてとても好きという気持ちと、一新したキャストの彼らならば、という期待を抱えていた最中での、まさかのオリジナルキャスト(こばりょ、新吾さんのルークは再演からですが)公演追加のお知らせ。新しいボーイズだけならよかったのに、それでもやっぱり私のアルターボーイズと呼べるひとたちは彼らだ、というひとたちが復活してしまえば無視できるはずがなく。ボーイズの来日公演が見たいという切望と同時に、ああいったものしか見られないなら、もうきれいな記憶だけ反芻していたほうがいい、という気持ちとで引き裂かれそうな日々を送っていました。周囲のコアなファン友達の反応はどちらかというと、もうREGEND(という名前のうさんくささもあおっていると思う)は見ない、わしゃ新生RED一択にかけるぞ!というもののほうが多くて、いやまあ自分のお金と時間を使ってなんで楽しいか楽しくないか、不安要素の方が強い舞台を見にいかなあかんのだ、と考えればあたりまえのことなんだ。しかし一筋の光として、2012年だけ抜けていたマーク役のマサくんが戻ってきた、というのがありました。たいとくんのマークも好きだったけれど、おそらくひとりぽーんと飛び込んできた新キャストかつ、年齢の隔たりという意味で、バランスが難しかった部分もあると思うので。2010年が初見ではあったけれど、マサマークの存在がボーイズのなかでぴしっと背骨として機能していたことはやっぱり記憶に濃く、かつ彼の2014年公演に向けての思いが各種媒体から漏れ聞こえてきたこともあり、殆どすがるような気持ちで、マサくんがいるのであれば、と願いながら、マイ初日(25マチネ)を迎えました。
余分な部分をそぎ落とした、ボーイズの姿がそこにはありました。基本のきの字に立ち返った彼らの姿が見られるなんて、思ってなかった。思ってなかったわけではないけど、疑いながら信じてたから。
新宿FACEという劇場(会場?)にはこの作品でしか入ったことがなく、2012年のあの冬で記憶が凍結していたので、あのエレベーターに乗ってのぼって、あのフロアに足を踏み入れた瞬間の、あの空気のにおいと、舞台の上にきらめくALTAR BOYZの電飾が何一つ変わらず存在してることに、頭がクラクラしました。もうこれは白昼夢に違いない、と夢を見ているような心地で開演前のアナウンスや、スモークのにおいをかいでいたのに、はじまって、We Are The〜を歌い踊る彼らを見れば手拍子を打たずにはいられないし、そんな彼らが役をはみださずに、目の前に、アルターボーイズとして存在してくれていることが本当にうれしくて、楽しくて、楽しいと思えることが涙が出るくらい嬉しかった。大事にしてきたものを大事に思える感覚が残ってた、というのは不純かもしれないけど、それでもひとはどうやっても、好きになるものを好きに選ぶことは絶対できないから、彼らの方へ気持ちがうわーっとまっすぐ向かっているのがじぶんでもわかるくらい、前回のアルターボーイズ初日ぶりくらいのにっこにこの笑顔で観劇していました。役としてはみださずにいることに泣くって、どれだけハードル低いんだよ!という気持ちももちろん持ちつつ、べつに特別なものは彼らに求めてなかったんだ、と再確認したというか。
彼らの中でどういう心境の変化があったか、何が起こったかはもう客席にいる私たちには伺い知れようはずはないんだけど、2012年とは何かが確かに変わっていました。今回どうであれ、前回が前回としてあった事実は消せないので、もう彼らには失望した、という人も少なからずいると思うし、私も忘れることはできないのですが、でも、なにかいうのは今回の彼らをみてからにしてほしいなと。そんなこと言える立場じゃないし、見たからじゃあ何を言ってもいい、というわけでは、もちろんないんですよ。でも。

ブルーのライトを浴びるボーイズの横顔が好きで、Callingのマシューの歌声が好きで、らびだでフアンちゃんに力強く手を差し伸べるルークが好きで、みんなだいじょうぶ歌い出し前のアブちゃんのターンが好きで、マークのエピファニーを歌う前の語りの、乗り越えた人の声のあたたかみが好きで、そういうものが自然に乗っているあの舞台上はなんてきらきらした特別な場所なんだろうと思いました。と自然に手が動くままに任せてしまったら特別って言ってしまった。そのままが特別でかけがえがない、ってことだきっと。2年ぶりとはいえど、死ぬほどリピートしているこの作品なのに、驚くほど新鮮な気持ちで観てしまって、どんな再演ものを観た時も、こういう気持ちで舞台にむかえたらいいのにな、と思うほどです。初めて見るもののように、とはもちろんいかないけど、でもまたあの「人生は続くんやからな」にすくい上げられてしまって泣いてしまった。これは大変なちょろさですよ!

神様は見ていらっしゃるのよ、という大いなるものの力を感じさせる作品というよりも、最初はその枠組みを借りつつ、結局は人間の彼らが、自分たちで自分たちの関係性を構築していく、力強い物語だと思うんです。少なくとも日本版は、そういうふうにつくっているものだと思いたい。
しかし、著名なレコード会社からソロ契約を持ちかけられるくらい個々がある程度ピンでキャラ立ちしてなきゃいけない魅力にあふれてるって設定があるから、ホンの段階でフレッシュさだけじゃ乗り切れないものあるのに、あんなに激しい運動量かせられるっていうおそろしい作品だなあと改めて……

各役について、2014初見段階で思ったこと

☆東山マシュー
私にとってのスリル・ミーがまりおくんの私であるように、私にとってのアルターボーイズは東山さんのマシューを抜きにして語れないんだ、ということにやっぱり今回も気づかされてしまってくやしい。彼という人にはずるいとかくやしいとかそういう言葉をかけるのが本当に似合います。マシューソロで、幸か不幸かスツールに座ってる彼の視線がちょうど投げかけられる一帯に座ってたので、君こそ僕のエンジェルマイハート(ばちこーん-☆)に笑いつつ、笑えないくらいには普通にときめいてつらかった。あの人、君のこと見てるよ、って顔をすることを生業にしてる……。東山さんのマシューは東山さんのマシューっていう生き物なんだよ?!ってガチギレしたい。
しかし昨日マシューのなにに心底ああ……となったかって、I believe前のあれこれで、こいつこんなにおきれいな顔してるけどピンでやってける自信も経験も積んでるし誘われたらぐらつくし、でも悩む自分を見過ごせないで告白しちゃうくらいには誠実でありたいし、そういうじぶんであることに一ミリも疑いがないがなさそうな、と思わせるところだった。アブラハムファンとして今回も、絞め殺したくなった。イメージはヴォルフの首をしめるアマデ。
それでもやっぱり、フアンちゃんをなぐさめてるときにかマークへのそれか、マシューはせがまれたキスをあやすみたいにおでこにするのが似合う人だな、とも思うんです。毒されている。

☆植木フアン
あんな赤とピンクの大変な色の組み合わせのお衣裳着て、ぐるんぐるんまわって、客席の女の子いじりまくるキャラで、いまさらそれはないでしょう?!と思うのに、彼のかわいいところ探しをいまだにしてしまうくせがぬけない。ぼくの、パパさん、ママさん……は植木フアンちゃんのお家芸だよ。バージン、道徳的でっしゃろ?もむろん。
もともとLA VIDA ETERNALが全楽曲中一二を争うくらい好きなのですけど、今回見てその思いをやっぱり再確認。もう何度見てるんだ君は、状態なのに、あのくだりはいつも舞台上の彼らの気持ちに呼応してしん、と真顔になってしまう。

☆マサマーク
おかえりなさい!
彼の笑みや、特徴あるのにやわらかくまるみのある声音にすごく安心すると同時に、びしり、と確信を突くのもまた彼の役目だと思う。エピファニーだけじゃなくて、昨日改めて、バンドが壊れちゃうだろ!というマシューに、なんでそんなこというの?だって君だって、ときょとんと返す彼の悪びれなさに鏡を突き付けられたみたいになって、ひゅっと息をのむマシューを見て思った。

☆こばりょルーク
ルークがフィナーレのマシューソロ前に客席上手に降りてくるところ、前列のお客さんの顔をひとりひとりじっじーっと眺めまわしながら、急に口ぱかっとあけてぐしゃあって顔にしわ寄せながら大型犬の笑み浮かべたとき、私と結婚して!いますぐ!って叫びたくなった。それくらいかわかっこよかったです……ストレスで苦しんでんのにな……
フアンちゃんのLA VIDA ETERNALと同じくBODY, MIND & SOUL!も全楽曲中で3本の指に入るくらい好きだ。
既に記したし、前回の時も何度も書いた記憶があるけれど、らびだでフアンちゃんに力強く手を差し伸べるルークが本当に好きで、フアンちゃんとルークの悪友と言ってよいのか、一番仲良しってわけじゃないけど多く言葉はかわさなくとも信頼しあってそうなところがすごく好きだ。

★良知アブラハム
衣装の雰囲気もあると思うけれど今回かわいいよりかっこいいって感じる瞬間の方が多くて、戸惑っている。でも創世記の丸メガネひょっとこ口は胸をかきむしりたくなるくらいかわいいし、教会の決まりの、みんなだいじょうぶとはまた違った感じでありつつEテレぽい振りするところはかわいいし、やっぱりかわいかった。
一度壊れかけたものの再生が、果たしてそんなにあっさりなされていいのだろうか、と思いつつも、良知アブちゃんのI Believeで再結成するボーイズの物語にやっぱり夢を見てしまうんだ。

個々の感想がまだ薄いのは、全体、アルターボーイズというひとかたまりで観る初日だったからだと思う、という言い訳。
教会の決まりあたりで、あっいまこのひとたち腹の底から楽しそうに笑ってるなって思える瞬間があって、なんだかもうそれだけでほんとうに多幸感にあふれてしまったような人間は、適切にひとにすすめる術など知りようがないんです。