TROIS

観劇後に気合があったときだけ書きます

ALTAR BOYZ 2012 2/4、5

ひとつ前の日記へのコメントありがとうございます。返信致しましたのでお心当たりの方はごらんくださいませ。



「罪を許すのは懺悔をきいてくださる神父様ではない、懺悔そのものなのだ」

○2/5(日)現在 ALTAR BOYZ 観劇記録
1/28 昼 RED
1/29 昼 RED
1/29 夜 ORANGE
1/30 夜 RED
2/1 夜 RED
2/2 夜 RED
2/4 昼 RED
2/4 夜 GREEN
2/5 昼 RED





待ちに待った緑を観てきました!
緑がリピートしたいくらい興味深いチームだったのももちろん、3色すべて観て改めて思ったのは、アルターボーイズってなんて面白い舞台なのだろう!ということです。3チーム観て、やっぱり私が一番好きなのは赤のアブちゃんだという気持ちは揺るぎませんでしたが、もちろん人それぞれ好みはあるとは思いつつ、各チームの同じ役を3人並べてみた際にこうも同じ役でアプローチの仕方が違うのかと、その差異がとても面白いなあと。加えて、配役がダブルトリプルで組まれているというだけではなく、それが各チームで固定されているという点。らちアブちゃんが好き、と口にするということは「REDチームにいるらちアブが好き」という意味であって、彼がすごく好きだからといって全てのチームのアブちゃんをらちアブで観たいとは思わない。ORANGEやGREENに彼のアブちゃんを投入してはたしてしっくりくるか、と考えるとそれはそれで実験として興味深くもありますが、かなり難しいなと思うのです。どんな舞台にもいえることですが、基本5人(+バンドマンもいますが)のみで構成されているこのALTAR BOYZというミュージカルにおいては特に、個々が役として舞台の上に立つということはもちろん、互いの関係性、位置づけがとても重要視されているのじゃないかなと。赤は赤のマシューマークルーフフアンアブラハムひとくくりで赤、橙は橙の、緑は緑の。
始まる前は、なんで年齢的にぐっと下の汰斗くんをREDに入れたのだろう?前回ORANGEだった善ちゃんがGREENに?ORANGEの鯨井くんとみかしゅんは逆の役配置だと思っていた、等々疑問がたくさんあったのですが、3色とも観劇を終えた今は、どのメンバーを入れ替えてもしっくりこない気がするくらい、これがベストの組分けだったのだなと思えるようになりました。単に雰囲気が合う合わないというふんわりした理由ではなく、個々の演技やダンスや歌といった能力を考慮して、チームとしてのトータルバランスを考えた結論だとは思うのですが。

【GREEN所感】
○マシュー
見た目だけだとカラースプレーで塀に落書きしてそうなちびっこストリートギャングという印象なのに、蓋を開ければ恐ろしく頼りがいのあるマシューでした。見た目は子ども!頭脳は大人!ではないけれど、あんなにマシューの「がんばれ!」が言葉の本来の意味をもって心にしみたのは初めてでとてもびっくりしてしまった。このマシューに任せておけばだいじょうぶ、というような安心感を、讃美歌918前に「怖いよう…!」と怯えるマークの肩を「大丈夫だよ、怖がりだな」と抱く時のあの声音等々、随所で抱いておりました。ひとつひとつの台詞をかみ砕いて本心から口にしているような説得力、真実味。私が観た回でアブちゃんのマイクの調子が悪く、懺悔コーナーでいったんひっこんでいた際に、うっかりルークが「アブラハムがいねえぞ!」とその事実をわざわざ指摘してしまい(しかしそのうっかりさんなところもルークっぽかった)場の雰囲気が一瞬凍りかけたところを「アブちゃんは秘密兵器なんだよ」とアドリブで一気に救う機転のきき具合も含め、皆のリーダーマシューだなと。
赤のマシューがフェッテ32回転全部にドゥーブル入れてきた衣装もスパンコール過多のギラギラした、でも目を奪われずにはいられないラリサの黒鳥だとしたら、緑マシューはすべてを削ぎ落として脚の角度全部同じにしたフェッテ32回転をやる真澄の黒鳥、というたとえを思いついたけど驚きの伝わらなさですね、これ。

○マーク
緑ボーイズのお歌担当。ソウルセンサーDX12のくだりでマシューにマークお嬢様、と声をかけられて喜ぶのが似合う感じの、見た目はふんわりした笑顔がかわいいマーク。「いれてちょうだい!」は爽やかめ。「どうして僕だけ違うんだろうって」と涙で声を詰まらせるEPIPHANY前の告白も真に迫って感じられましたし、彼が歌いあげるEPIPHANYも素晴らしかったです。

○ルーク
緑ボーイズのダンス担当。「君の明日の期末のレポート1200字きっちり仕上げておきました」って言われて初めてレポート押し付けてた相手の顔と名前を思い出すルーク。5秒前まで契約のことをほんとうに忘れてたルーク。喜怒哀楽が全部表にだだもれの、おばかでかわいい目が離せないルーク。系統が赤ルークと恐らく同じなので、赤と緑のルークはきっと兄弟。

○フアン
身長が高いフアンちゃんって新鮮だなあ、と思いつつ、中身のあっけらかんとした感じは赤か橙かと言われたら橙よりかなと。LA VIDA ETERNALの歌声も綺麗だったのですがわりあいあっさりした感じ。まだ彼のフアンちゃんがよく掴めていないので、次に観る時にはまた違った感じになっているかしらと、来週日曜日を楽しみにしたいです。

アブラハム
ルークの大暴投をいつもきっちり拾い上げると見せかけて、枠からはみ出さない真面目さがあるようでいて、たまにそこ突っ込んできいちゃうの?といような妙なところに興味を持って、自分が満足するまで追求をやめないアブちゃん。友人と終演後、赤アブや橙アブみたいな迷いながらのI believeじゃなくて、緑アブは皆を説得するためのI believeに聴こえたね、という話をしていました。今少し脇道にそれて大事なことを見失っていますけど、でも私たちは今まで大切な時間を共にしてきた仲間じゃないですか、と力強く語りかけるI believe。繊細さがないというわけではないし、深く物事を考えているのだけれど、考えているがゆえの強さ、迷いのなさがあるなあと。
そして緑アブもやっぱりあの黒縁丸眼鏡が似合いすぎます。

アブちゃんを構成する要素としての円を二つ描いて、真ん中の重なってる部分が赤アブだとしたら両端がそれぞれ橙アブと緑アブ。橙アブ=A、赤アブ=B、緑アブ=Cで、A=B、B=C、よってA=C、証明終わり、とは言えてもいきなりA=Cって言ったらペケつけられる。それくらい橙アブと緑アブは相いれない存在で、中間に赤アブがいるなあという印象を受けました。三人とも同じ役を演じているとは思えないほどで、でも全部納得できるアブちゃん像でほんとうにすごい。役者さんも、アブラハムという役も。
やっぱりアブラハムという役が好きなので、どのチームを観ていても気がつくとアブちゃんを注視してしまっていて、結果三人のアブちゃんをやたら興味深く比較して考えてしまう羽目になっております。



【赤アブのここがかわいい】
・創世記のアブちゃんがペン貸して、って出した手を「どうもマシューと申します」って悪ノリして握り返そうとするマシューに「ちがう!ペン!」っていう時の声のかわいさにいつもやられています。創世記時のアブちゃんの「君の明日の期末のレポート〜」の息もつかせぬ抑揚のなさ(わざと)や、マシューが最初にアブちゃんに声をかけるシーンの「な、なんで私に声かけるんですか?!」的な挙動不審さ(前回はなかったあの声かけがあるとアブちゃんと唯一顔見知り設定ルークがパーになるなって思ってたのだけど、マシューの名前知っているくらいで声をかけてしまう分け隔てないフランクさゆえ、と言われたらまあわかるし、アブの対応が会話を交わしたことないっぽさを浮き彫りにして納得がゆくなあと思う)、「おたくらのへんてこな衣装〜」で「ちょっとだけ!」というしぐさ、「歌詞の続きは〜わかりません!」でのポンポン、とポッケを二回大げさに叩くところ等々、黒縁丸眼鏡の愛らしさがもうだめです。

・Everybody fitsのすべて。黒羊さんパペットとアブちゃんが仲良しこよしであればあるほど目頭が熱くなる。
「神の御心があまり意味のないもののように思えたとしても、その呼び声を見失ってはいけません。なぜなら、これは私もユダヤ人学校で習ったのですが、私たちは皆神の子。ひとたびあのユダヤの羊飼いを信仰すれば、『んー信じよ、さすれば必ず、すくわれん!』」
いいかげんに他のボーイズらがどういうったふうに白羊さんと仲良しなのか確かめたいとは思ってはおります…

・懺悔コーナーでのお決まりのセリフ「私もかつてメイド喫茶でくらくらしたことがありますが〜」で両手の指をやらしく(でも全くやらしく見えない)うごめかせて、「思い止まりました」ではっと他のボーイズらに見られていることに気づいてその手を後ろに回す一連の流れ。

・「おたくのことですよ!フアンちゃん!」で両足揃えてぴょんととんでウォルトサマーズ探偵事務所からの黒ネコ国際急便の封筒を差し出すところ。


おばあちゃんもうそのアブちゃんの話はしたでしょ、並みに何度も同じ話を繰り返している気がしてなりません。



そういえば3色見て、あらためて赤フアンちゃんの創世記時の「パパさん、ママさん…」からの口ひん曲げたしょぼんってお顔、たこ焼きとろうとしたルークや「親がいるってことは〜」を口にするマークを(こいつらなんてひどいこというんや)って目で睨むのが好きだなと思いました。橙フアンちゃんも緑フアンちゃんもあの箇所はまだなにがなんだかわかっていない節があるようなと思いつつ、フアンちゃんという役の解釈の差のような気もいたします。
再度赤マシューの雲の切れ間から射し込んでくる圧倒的な光のようにすべてを照らしてさらってゆく「I believe!」の響きを噛みしめたり、全部のチームを観て改めて立ちかえって考えてしまう部分もあり、まだまだ掘り下げる余地が無限にある舞台だなあと。