TROIS

観劇後に気合があったときだけ書きます

ALTAR BOYZ 2012 1/29〜31


「最も偉大な奇跡が起こる場所はその心の中なんだから」

○1/31(火)現在 ALTAR BOYZ 観劇記録
1/28 昼 RED
1/29 昼 RED
1/29 夜 ORANGE
1/30 夜 RED

本記事ももちろんネタバレしております。









本来ならばはなから諦めてしまう平日夜公演に無理やりかけこんでしまうくらい、魂の救済を求めています。「神様、お助けあれ!」
新宿FACEに舞い降りたのは天使か悪魔か。
日は昼夜でREDチームORANGEチーム両方の公演を観劇し、前回から引き続きの3人に新しい2人を加えた新生ORANGEのフレッシュさはもちろん「ALTAR BOYZという作品」を初めて観たような気持ちを味わいました。赤のおにいさんたちは慣れてしまったがゆえに少々(ですませていいのか)枠を時々逸脱しがちなところがあるのだなあということを思い知ったといいますか。しかし二つのチームを観、比較することで、改めてマシューとは、アブちゃんとは、マークとは、フアンとは、ルークとはどういう人物なのか、彼らひとりひとりの役柄について考えを深めることができたような気がします。


ORANGEチーム
○マシュー
「YMCAのお泊まりサマーキャンプで僕もまた僕に相応しい人に出会った」のが確かに10数年前のことで、そしていまも「その日まで夜は、」をきちんと守り続けていそうなへたれわんこマシュー。再演時に新宿BLAZEのREDとの合同ファイナル公演で観たことはあるものの、きちんとORANGE単体での公演で観るのは初めてだったので、ORANGEチームの中でのマシューの立ち位置がREDのそれとまったく異なるのにもびっくりしました。
ORANGE全体がそうなのですが、個々のキャラクターが突出しておらず、全体の調和がとれてるなあと。それゆえに最後に裏切らなさそう、そしてそもそもソロ契約の話がこなそう。
ラストは専属契約の話がきたら、皆悪気なく話を受けてしまいそうな赤のほうが納得がいくという一長一短ぐあい。

○マーク
ORANGEチームのお姉さんポジション。愛にあふれた人。マシューへ抱いた気持ちやそれを示す態度は、赤マークの「ガーディアンエンジェル」に向ける遠くにきらきら光る存在への憧れを多分に含んだものとは違って、もっと身近な、弟のような存在をいとおしむようなそれ。マシューがマークに対してヒーローのような役割を果たしてくれたのは実質「天使ってのはあっちにいるもんなんだよ!」の時だけで、その後は実は他のあらゆる面で頼りなげであることに気づいてしまうも、既にマークはマシューを放っておけない存在と認識するようになってしまった、というような。「もう仕方がないわね!」という気持ちで面倒を見てしまうことはあっても、そのかつての記憶がマークの心に残り続けている限り、やっぱりORANGEのマークにとってもマシューはいつまでもヒーローなのかもしれません。
拍手を受けたあとに「あらありがと!」というように手をひらひら振る手馴れた感じがなんとも言えず好きでした。「あのね、大きくなるって、」と観客に言葉を選びつつ切り出した時、それまでいわゆる「オネエさん」口調だったマークが急にひとりの素の男の子に見えてはっとしました。「大きくなるって難しい事もある」という言葉の意味を、実際にその身にふりかかってくる出来事でいやがおうにも感じていた頃の彼に戻ったかのような口調。それからの告白もすばらしかったのですが、ORANGEマークのEpiphanyはもう、歌というより観客に切々と語りかける台詞と捉えた方が正しいのかなと。

○ルーク
常に喋っているか動いているかどちらかをしていないと気が済まないタイプ。仲間とノリノリではしゃいでいても次の瞬間に何をし出すかわからない、キレ出すとほんとうにびくっとするくらい恐ろしい。でもボーイズたちからは恐れられているというよりも、あの子なにし出すかわからないから誰か見張ってなきゃ!くらいのあたたかい視線を投げかけられていそう。

○フアン
赤のフアンちゃんに「暗い深いお悩みがおありでんなあ」と言われてもそれはそのままご本人につき返したくなるのですが、このチームのフアンちゃんはそういうダークサイドを一切感じさせない、よくもまあこんな子がメキシコはティファナからひとりでアメリカまでやってこれたなあと、きっと神様のご加護が幾重にもあったに違いない、と思わせてしまう、いとけないフアンちゃんで、こういう解釈もあるのか、と目を見開く思いでした。なにをやっても悪気がなさそうというか、いつも裏表なくあっけらかんとして悩みがなさそうで、だからこそあの「救うべき魂もどこかへいってしまいますがな〜」のくだりから急に崩れ落ちて「マシュー…!」と泣きつくシーンがただただかわいそう。こんな小さな子を泣かせたのはどこのどいつだ!と思わせてしまう。

アブラハム
赤アブのコミュ力や興味のある物事に突き進んで行く迷いのなさを橙アブを観て改めて感じました。橙アブは頭はすごくよさそうだけれど「かつてメイド喫茶でくらくらしたことが」なさそうなんですよね。おたくっぽく見えない。それほどなにかに執着するような性質に見えなかった。「アルターボーイズ」という共同体やそれを構成する仲間たち以外には。神経質さや、本当に悪気ゼロなのに嫌味にきこえることを口走ってしまって、後から気付いて後悔して落ち込むような。
だからこそ彼にとってアルターボーイズが最初で最後の砦であり、彼の存在意義を見出してくれた大切な場所であるということが「ちょっと待ってください、それでは私が、」の最後のくだりで切々と伝わってきて、この子から大切なものを奪い取らないでください、とかたく手を握り締めて神様に祈りたくなる。

改めて思うに赤のアブちゃんは一人で生きる楽しみも知っていそうなんです。寄り添うことだけが人生ではないとうっすらわかっていて、ちょっと共同体というもののなかで生活したらどんな感じでしょうか、という興味が先に立ってアルターボーイズに所属することを決意した感がある。そんな彼だからこそ、4人の裏切りにショックを受けた自分に驚いて、そこで改めて「この仲間たちと人生で一番素敵な時を過ごした」ことを思い知ったのかもと思ってしまった。なんだかんだで結構したたかなアブちゃんが必死に「僕らは一人一人違う人間だって知ってるけど!」と声を張り上げるまでアルターボーイズという居場所を必要とするようになった、という意味を改めて考えてしまうと、やはりどうしてもその言葉が胸に突き刺さるんです。

ひとりじゃ生きていけなくてようやく見つけた自分の居場所に必死でしがみつく子も、ひとりでもだいじょうぶだった筈なのに裏切りを知った時にこみあげたのは諦念ではなく彼らへの愛おしさだった、そのことで彼らが自分の中でどれほど大きな存在と化していたかということに気付いた子もかわいいんじゃないでしょうか〜〜〜〜と声をあげたいです。
アブラハムが、好きです(ひいき)。



本日開幕のGREEN公演が観られる週末を楽しみにしつつ、以下は思い出した変更点です。
やっぱりあらゆる箇所でよりわかりやすい演出、台詞になっているなあと。



・La Vida Eternalでフアン代打で突然2番を歌うことになったアブちゃんが、マイクの高さを変更しようとしてねじを留め忘れる→歌ってる最中に高さが最小に→慌てて両膝をすとんとついてしゃがんだまま歌う。
1回目はほんとうにアクシデントかと思ってひやっとしたのですが、2、3回目もやっていたのでそういう演出なのだろうと。その後慌てているアブがマイクを握ってどんどんノリノリになっていくのが前回と変わらずかわいい箇所。

Epiphany後、「4」という数字を示したソウルセンサーを見て、前回まで:マーク「いつもならここでゼロになったのに!」→今回:ルーク「ここはゼロになるところだろ!」
マークがもしかしていつもこのくだりをやっているのかも…?という疑惑を発生させる箇所がすっぱり削除されていてややさみしい気も。

・5人がスカウトされた人物名、たとえられた有名人変更 
マーク:エルトンジョン→レディガガ、アブちゃん:ニール・ダイアモンドの原石→ちょっと年上バージョンのジャスティン・ビーバー

I believe前にアブちゃんがカーテン脇にはける
初回はアクシデント発生だったようで、2回目、3回目はまた下手段差に腰掛けたまま話をきく演出になっていてひと安心しました。このシーンがとても好きなので。