TROIS

観劇後に気合があったときだけ書きます

6/24ソワレ シスターアクト

元気をたくさんもらって帰ってきた気持ちに。
どん底に突き落とされたり、選ばれるひとの孤独だったり、苦しみぬいて生きるひとを描いた暗い作品のほうにどちらかというとより心惹かれるたちだと思っていたのですが、シスターアクトみたいに生きることをまぶしいほどの光でぴかぴかと照らす作品もとっても大切で、いまそういうものを欲してたのだなあと一幕幕間でななめ後ろに座っていた友人のほうを振り返った時「いい笑顔してるよ」と言われて気づきました。カソリックジョークがとっても肌になじんでにやにやしてしまったのは、アルターボーイズを思い出してしまったから。

あさこさんのデロリスのぺかーーにかーーという効果音が似合いそうなぴかぴかの笑顔に、理屈じゃなくすくい上げられて救われてしまう。台風みたいに周りのみんなを引っ掻き回して揺さぶって動かしていく姿が、一から十まで、いま、ご本人の思うままに息を吸ってはいておられる!と彼女の行動に筋書きがあるのを疑ってしまうくらいにしっくり。
シスターたちを束ねて合唱のレッスンをしている場面のいきいきぐあいももちろんのこと、特にぐっと迫ってきたのは、シスターメアリーロバートちゃんが、ここが自分の居場所かわからない、あなたについてゆきたい、ってすがったときに、デロリスがやさしく諭すところ。彼女が決心する歌をうたう姿を見守ってるときのやさしい笑みに覚える安心感。この人に大丈夫って言ってもらえたらその言葉と笑みを胸に励みに抱いて燃やして、頑張れそうだなと。そこにいるだけで、周りの人に勇気や元気を与えるひとだなと思います。まさに黒い太陽。
そうやって励まされた、いままで口答えしたことなかったロバートちゃんの、初めての抵抗にじわじわ感じ入ってしまったのは、いろんなものを重ね合わせたからかもしれません。彼女の選ばなかった人生、まだいまからでも選びとれる人生。望めばなんにでもなれる、って知った子のつよさ。

あてがきとしか思えないかずさんエディも大好き。汗をだばだばかきながらもヒロインのことをひたすら誠実に想い続けて、ときに滑稽なほど彼女を励ます応援団にまわる三枚目には最後にごほうびがくる。ご本人の見た目のハンサムさと相反するように、好きな人や物を追いかけるほうが似合って、その姿が微笑ましい方だなあと改めて感じました。

ものすごくいいお声の神父様あなたはどなたさま…?ってオペラ覗いたらよおく見知った方でそっと非礼を詫びつつも、くにお神父さまの「僕の子羊ちゃんたち!」にトゥンク…が止まらずそっと胸を押さえました。ひたすらな現役感。

吉原さんのカーティスの渋さと怖さの配分の絶妙さ。彼を取り巻くおちゃめな三馬鹿のうちひとりが上口くんパブロなのは知っていたのですが、藤岡さんTJとKENTAROさんジョーイは幕間に教えてもらいびっくり。なんて見知った方ばかりご出演の舞台……という今更な気づき。KENTAROさん藤岡さんの色気のあるかっこいい歌声に上口くんの高音がきれいに重なる、シスターをナンパする練習の曲は、2階後方から見てもノリの良さが伝わる楽しさでしたが、1階前方で見たらもっと楽しそう。

曲や、展開のテンポの良さに終始笑顔で観劇しつつも、時折別のスイッチが入ってしまったのはなぜかしらと。シスターたちのコーラスのエネルギーは2階の後ろの後ろまでぐわーと迫ってきて鳥肌が立って、それに押されたみたいに涙がほとほと出てきてびっくりしてしまった。つよいけれど、とってもあたたかい、ぐいぐいと寄り添うたぐいのなにか。食事の時間に、ハーイ!と笑顔で席に割り込んできたデロリスみたいに。
ラストの、シスターたちがデロリスを寄ってたかって助けようとするところにも、なんだかもうほんとうにだめで、ずるいなあと思いつつじわりとこみあげてしまう。I Believeアブラハムの周りにボーイズが再び集ったように、きれいなものを信じたくなる、収まるところにしゅるんとおさまるエンドマークのつけ方。

連れてって天国へ!行かせてパラダイス!といまもまだ、ふいに口ずさんでいます。