TROIS

観劇後に気合があったときだけ書きます

エリザベート6/24&マグダライブ6/18



帝劇エリザマイ楽をおさめたのに全然気持ち的におさまっていないのは、気にいったものを際限なくリピートする私自身のくせによるものなんじゃないかしらと思います。7月はもともとスリルミーにまるっとあてる気まんまんだったので、博多座には流石にゆけぬ、しかたがないと諦めがつくことではあるのですが、7月いっぱい岡田フランツに拝謁がかなわないと思うと、いまから部屋の中を檻の中のくまのようにうろうろ歩きまわってしまいそうです。名古屋と大阪遠征を本格的に計画したい。

18日には思い立ってマグダライブへ駆け込み、一日だけウィーンハプスブルク朝の皇帝からロマノフ王朝第4皇女に姿を変えた岡田さんを拝見してきたのですが、DVDのアナスタシアさまがいくら素敵だろうと、流石に皇帝業の合間をぬってのライブ、本公演から大分経っていますしなかなかむつかしいのではと思っておりました。しかしその考えは完全に杞憂であったどころか、DVDで拝見した以上に、頭のてっぺんからつま先まで文字通り完全に「高貴な女性」のアナスタシアさまがいらして、とっても感動してしまったことをここに書きとめておこうと思います!手をちいさくぱちぱち打ち合わせての拍手や、ふわっとした微笑み(こぼれる八重歯!)、ドレスの裾を少しつまんでたたたっと小走りする様やちょっと小首をかしげる仕草の上品さに目を見開きました。
ほんとうにかわいらしく、かつとある突発的事態が起こった際にアナスタシアさまがアドリブで「やん!」と声をあげられた時は、わたくし、静かに感動しましたわ、と思わずつられて丁寧めな言葉遣いになってしまうほどに、そのあまりの完全なる女子っぷりが、他に登壇されている女性役の男性俳優さんのなかでも際だって輝いていたように思います。なかなか役設定があったとしても、あんな状況でああいった声があげられ、かつそれがかわいらしくきこえるアラフィフ男性はいらっしゃらぬと……他のお客さんからも\かわいい〜〜!/という声が多数きこえてきて、その方ついおとついまでハプスブルクの皇帝でしたし、明日からまた皇帝に戻られるのご存じでいらして??と思わず声をかけたくなってしまうほどでした。
DVDの映像で見た以上にオフショルダードレスを完全に着こなしていらして、デコルテうつくしいで賞アラフィフ女性部門は涼風さんで、男性部門は岡田さんじゃなかろうか、と本気の目で口にしたい。あの姿のまま私が踊る時、の馬車の上に乗って優雅にお手振りしていらっしゃる姿が容易に浮かぶようです。またアナスタシアさまにお会いできる日を心から待ち望んでおります。


そしてもう毎回毎回しつこく書いている、エリザというかほぼ岡田フランツについての感想にまいります。
いつものことながら、皇帝陛下に神の御加護を!と勝手に祈るような気持ちで観劇した公演でしたが、本日2階のS席前方下手列からで、普段は人で重なって見えない舞台奥までよく見渡すことができるすてきなお席でした。棺の中から起きあがってくる瞬間の岡田フランツをあんなにしっかりとらえたのは初めてかもしれません。我ら息絶えし者ども〜から夫であったにも関わらず、シシィを取り巻いた人々、という括りでまとめられてしまう彼の心情とは、と今一度思いを馳せつつ、物語に入り込んでゆきました。
いつも注目してしまうバートイシュルでの春野シシィと岡田フランツの出会い、そしてあなたが側にいれば、の二人のデュエットでは、春野シシィの、あなたがいる、私がつかめる、でふわっと笑う岡田フランツの表情が、真実シシィと幸せになれることを願ってはいても、どこかそれは無理であることを見越しているように、口元は弧を描いているのに眉間に刻まれた皺がそのままで、ジークフリートに愛を誓われた時の真澄の白鳥の解釈だーーー!とまたもやSWAN読者にしかわからぬマニアックなたとえをしたくなってしまいました。もちろん岡田フランツが春野シシィを心から愛している事は伝わってきて、けれどそれだけではだめだったという夜のボートまでの流れがしっかりと見えるような切ない「あなたが側にいれば」だったなあと。同じ感想を抱いて同じことを書いた記事もたぶん以前にもあると思うのですが、その気持ちを岡田フランツのほほ笑み切れていない表情から受け取ったのは今日が初めてだったかと。今日の春野シシィの私がつかめるは、一度握った手をはなして、右手を揃えて自分の胸の方を「私が」と差ししめしてから、きゅっと再度岡田フランツの手を両手で握る、という流れでした。ともすれば共倒れしてしまいそうなところがある繊細でいじらしいふたり。けれど皇后の義務での「フランツ助けてあなたが頼りよ!」で自分の求めていたものと彼が与えてくれるものについての認識のずれに気づいてしまってからの春野シシィは、岡田フランツの事を愛していながらも、どこかでその齟齬を繰り返し噛みしめているような気がしました。
最後のダンス後にぎゅっと春野シシィに抱きつかれ抱きしめ返したあと、いったん離れて心配そうにシシィの表情を覗き込んで、またぎゅっと抱きしめる岡田フランツ、の彼の気遣いが見える流れがやっぱり何度見ても好きで、「僕は君の味方だ」とどうしようもないのに春野シシィをぎゅっと抱きしめて宥めようとしまう岡田フランツの無意識のずるさがにくくて、けれどやっぱり「強く、厳しく、冷静に、冷酷に」は母、皇太后の愛という名の呪いだと、皇后の義務〜と虚空を見つめながら歌う岡田フランツの表情を見つめてお腹の底が冷えたのも事実です。誰も私利私欲にまみれているわけではないと思うのに。
シシィが出ていってからの「母上!」とゾフィーに噛みつく岡田フランツの「そんなことはない!」と憤るその目には涙の膜がいっぱいに張られていて、思わず胸を打たれつつも、同時にあのシーンの「引き裂く…?」と呟くゾフィーにも気持ちが傾いてしまいます。彼女の息子への思いは「”あなたの国”は滅びてしまう」という歌詞からも感じました。今回帝劇で全9回観劇のですが、実はゾフィーは全て寿さんでした。皇帝で唯一の男、としての威厳があるお姿はとても見応えがあってすてきだなと思いつつ、対比をして観てみたいので、遠征先ではうまく杜さんのゾフィーにあたる日があればいいなあと思っております。

2回目の大野くんのルドルフでは、やっぱり民衆の意を汲み取ろうとする、目線を合わせよう合わせようとする、馬車の上から手を振る姿がとても好きだということを再認識しました。マイヤーリンクでの、銃を受け取った時のぼんやりした顔から、これはなんだっけ、なんだっけ、なんだっけ……あっそうだあの時あの人にもらったすごく大事なものと同じのだ!とうれしそうに微笑む表情の変化も。ハス!で上手扉前に暫く佇んでからはけてゆく岡田フランツを、下手端から父上!と手を伸ばす大野ルドルフの姿の切実さにもあっ、と思ったのですが、そんな大野ルドルフは、ママのこと理解せずに〜がすごくパパを責めるような気持ちがこもっていてふてぶてしさ大爆発に思えるので、千尋の谷に突き落として這い上がるのを見たくなる系だなと。対してゆうたくんルドルフは手を差し伸べたくなる系です。そう考えると居住まいのきちんきちんとしたところが格好いいなあとおもいつつ、平方さんのルドルフはまだあまりよく掴めていない気も。
余談ですがルドルフトークショーのしっかり長男(平方さん)、ぼんやり次男(ゆうたくん)、かわいがられ三男(大野くん)がわちゃわちゃ話している姿、そこに小気味よいつっこみを絶妙のタイミングで入れるよしおせんぱいの姿がおもしろすぎてとてもすてきなトークショーだったのだなと、動画をあげてくださってありがとうございます…!という気持ちでいっぱいになりました。(なのでロイヤルファミリーアフタートーク動画は涙をのんで諦めるので、どうかせめて千秋楽カテコ動画も……!)



岡田フランツや星の王子様の飛行士さん(こちらもDVD入手したのですが、岡田さんが出ていらっしゃる、ということだけでなく、ほんとうに素敵な作品でした!)、アナスタシアさまのことを考えて、8月中日遠征までまずは乗り切りたいです。




○帝劇エリザ観劇:
計9回:5/12マチネ、22マチソワ、27、6/2マチソワ、10、16ソワレ、24
トート:やまぐちさん3、石丸さん3、マテ3
シシィ:春野さん7、瀬奈さん2
フランツ:岡田さん7、禅さん2
ルドルフ:ゆうたくん4、平方さん3、大野くん2

個人的なマイベスト組み合わせは、春野シシィ、マテトート、岡田フランツ、ゆうたくんルドルフでした。