TROIS

観劇後に気合があったときだけ書きます

12/18 K&D live 夜の部


12/18はK&D live 夜の部に行ってまいりました。記憶の不確かさにより時系列を追ってのレポートや詳しいセトリは記しておりません。そちらを求められていらした方はごめんなさい。要約するときっと、石井さんがとってもすてきでした!というだけの感想。

本当は昼夜とも参加したかったくらいなのですが、昼間はシアター1010でやっていたワンダーランドへようこそ!の方へ行っておりまして。18日のマチソワでりおくんと石井さん、更には前日17日のTdVで浦井くんと、かつてのヴェローナの住人の方々の歌声を二日でいっぺんに3人分も拝聴するという、なんともまあ贅沢な週末でした。このお三方の演技、歌を一度に板の上で堪能できたロミジュリこそがなんともまあ贅沢な舞台だったのだなと、改めてしみじみと噛みしめてもいます。

石井さんのブログやツイッターでのお言葉からロミジュリの歌やトークが聴けるのかしら、とわくわくしつつも、今回は石井さんと大輔さん(お兄さんもいらっしゃるので下の名前で)のライブですし、素の彼らの歌やお話を楽しむものであって、マーキューシオと石井さんを混同してはいけない、と自分に言い聞かせて会場に足を運んだのですが、途中でまさかのヴェローナ(の霊廟なのか)よりゲストのマーキューシオさんがいらしてくださって思わず息をのみました。石井さんにマーキューシオが降りてくる瞬間を、私を含め、あの会場にいらした60人ほどの観客は確かに目撃したのだと。そういう言い回しが適切でないとしたらいったいなんと言葉にすればいいのか。あの何度となくACTシアターで、梅芸で、ご本家版CDで耳にしたイントロが流れた瞬間に、石井さんの表情がさあっと変わったんです。メイクも衣装もなにもなく、身につけるものはすべて石井さんの普段のものであった筈なのに、あの時あそこで『マブの女王』を歌っていたのは紛うこと無くヴェローナで生きて死んだマーキューシオそのひとでした。石井さんのなかに確かにマーキューシオはいたのだと耳から入りこんでくる歌声から、視覚から、思い知らされてしまった。全部ではなくとも石井さんの一部が核となってマーキューシオが形作られている事は疑いようがない事なのだから、当たり前なのかもしれないですけれど。千秋楽から2カ月弱が経って、もはや幻の都とすら思えてきていたヴェローナを背負って、彼と再びまみえることがあろうとは!
石井さんのマーキューシオが丸ごと好き、といっても演技と歌、人によってより好きな、重きを置いて見る(聴く)部分は異なると思うのですが、恐らく私はロミジュリを前者に比重を置いて見ていたのだと思います。もちろんたくさんの要素があわさって彼のマーキューシオが形成されていたわけで、きっぱりとそこを分断してはならないし、そもそもできない。けれど『決闘』あたりはもう彼のマーキューシオの血を吐くような、魂の部分を振り絞るような悲痛な叫びであって、それを「歌」として捉えていたかというとややあやしいです。音としての正確さを求める求めないというレベルの話ではもはやなく、メロディにのせた「台詞」として捉えていたのかなと。そうやって観ていた際に「マブの女王」は大好きなマーキューシオのソロ曲として好きなナンバーではあったけれど、彼が歌う曲の中で一番、というわけではなかったんです。それゆえに突如として鮮やかに現れた彼の姿だけでなく、あの歌に、あんなにもぐらぐらと揺さぶられるとは覚悟しておらず、二重の意味でびっくりして思わず胸をおさえました。上向いてやや瞼を伏せて、右手を鼻先から額に滑らすような仕草だとか、あの狭い会場では踊れないですし、特に大げさな振りをしていたわけではないのに、なぜあんなにもマーキューシオだったのか。ご無沙汰しておりました、とそっと心の中で呟きたくなりました。
そんな彼を見て、歌声を聴いて、もちろん「ロミジュリが観たい…!」という事あるごとに強い衝動としてこみ上げる思いはまたしても心に戻ってきたのですが、それと同じくらいの強さで思ったのが「舞台に立つ石井さんの姿を早く観たい」だったんです。マーキューシオとしての彼だけでなく、他の役をどんなふうに演じるのか、観たい、知りたいという強い願い。つい2か月前演じた役とはいえ、舞台の上ではない場所でこんなにも身にすっと役を纏うことができるひとは、次はどんなひとになって私たちの前に姿を現してくれるのだろう?と、そういう可能性を今回の石井さんは提示してくださったように感じました。

ライブがはじまってすぐ、トーク前2曲目あたりに歌われていた「僕の願い」(ノートルダムの鐘)で、初めて耳にする曲だったのにまずぐっとひきこまれてしまったのも一因かもしれないです。光に焦がれて遠くから見つめたり、もがきながら届かないと知りつつもその光に手を伸ばすというようなお歌に感情をのせるのが得手なのかしらと思って、石井さん演じるカジモドが観てみたくなってしまったし、「カフェソング」を聴けば、コゼットと手に入れる小さな幸せと革命という学生軍の一員として大事を成し遂げる間で揺れるのではなく、かなり後者よりの、革命の中で友と共に生きて死のうとしたのにひとりだけ生き残ってしまったマリウスとしての彼が観たいなと思ってしまうし。次のお仕事が発表されるのが待ちきれない、とロミオのようにわくわくと、ひっそり叫んでおきます。

石井さんの歌についての感想しか綴っていないのですが、ほんとうに仲のよさそうな石井さんと大輔さんの、途中からゲストでいらした大輔さんのお兄さんもあわさってお三方でのかけ合いもすごく楽しく拝聴できて、1時間半と少しとは思えないほど濃厚な時間でした。
ご本人はふまじめキャラのようなことを仰ってましたが、私の目にはなぜか行動がワンテンポ遅くて真面目で説明ベタな放っておけない雰囲気を纏っているひとに見えてしまい…大輔さんの絶妙なツッコミがそれを更に引き出していたように思います。あんまりこういう言葉で称されるのがお好きでない方もいるかもしれないのですけれど、ほんとうにかわいい方だなあと再認識してしまいました。大輔さんソロを椅子に座ったままやや身をゆらしたり、重めの前髪を垂らして俯いてただじっと聴いていたり、歌う時にあの大きな目を、視線を客席へなにげなく彷徨わせたり、随所随所でツボをぐぐっと押されてはいたのですが、ライブ半ばくらいのクリスマスソングメドレーで、曲途中で後ろに隠していた鈴を取り出してシャンシャン振り出した時は、唐突な出来事に驚きつつもいたずらが成功したような、やるべきことをやるべき箇所でちゃんとできてほっと胸をなでおろしているような満面の笑みで、ちょっとどうしたらいいのかしらと、それこそ胸をおさえて俯きかけました。
ほんとうにかわいらしい方でした。しつこいのは承知しております。
次回またこのような機会があることを切に願いつつ!